Metropolis
 

少し時間はさかのぼる。
杏は消えたのではなかった。
誰かの結界によって他の三人から隔離されただけだった。

「ちょ・・・なによこれ・・・?!」

杏はとりあえずその結界を解こうといろいろ手をためした。
しかし、どうやってもその結界は解ける事はなかった。
こちらからは三人の姿が見えているというのに、向こうからは見えるどころか、気配も感じられないようだった。

「どうしよう・・・」

その時一瞬亜梨馬と目があったような気がした杏は結界を錫杖でたたきつけた。
しかし、結界には傷ひとつつけられなかった。
そうこうしているうち、戒厘が亜梨馬となにかを話していたと思うと、一人で森の奥へと向かい始めた。

「えぇ?!ちょっと戒厘ちゃん!!ダメだよこの森で一人になっちゃ!!!」

杏はとりあえず戒厘の後を追う事にした。
戒厘についていった杏が見た物は、妖獣に囲まれて笑顔で戒厘を迎えている一人の男の姿だった。

「・・・ようこそ待っていたよ・・・」
「お待たせしてすみませんでした・・・何しろあなたのしかけてきた方たちのお相手もしてましたから・・・」
「少しは楽しんでもらえたかな?」
「ちょっと僕達にしてみれば遊び足りなかったですけどね・・・」
「それは悪い事をしたねこれから私が存分にお相手してあげよう・・・」
「それは願ったりです。その前に・・・僕達の仲間を返していただけませんか?彼女にも遊ばせてあげないと・・・」
「彼女・・・いや、彼女達かな?まぁどちらにしても君のお仲間さんにはショーを見てもらおうと思ってね・・・
君をやつざきにするというショーを・・・」

その時、杏の後ろから亜梨馬と梅流の気配が近づいてきた。

「亜梨ちゃん?!梅流ちゃん!!どうしてここに!!」
「それはこっちのセリフだ杏・・・おまえどうしてここに・・・」
「亜梨姉!!厘ちゃんが!!」
「ちっ・・・また結界か・・・」
「あいつ結界好きだね・・・」
「それより亜梨ちゃん!どうしよう・・・この結界どうやっても切れないの・・・」
「どけ・・・これは・・・」

亜梨馬がなにかに気がついたとき、戒厘は晴雷が放った妖獣相手に一人で戦っていた。

「どうだい?楽しいか?」
「まだ物足りませんよこれくらいじゃ・・・!」

戒厘は妖獣に気孔波をぶつけ、一瞬で粉々に吹き飛ばした。

「ほぅ・・・ならば・・・これではどうかな?」
「・・・え?」

戒厘が動こうとした瞬間、足が土にめり込み始めた。

「・・・君は水属性だったね?土には弱い・・・そうだね?」
「そうですね・・・普通の水属性なら土には弱いですね・・・でも、僕達を普通と思わないほうが賢明ですよ?」

戒厘が笑顔でそう言うと、戒厘の足元に銃弾が打ち込まれた。
その衝撃で土は元に戻り、戒厘の動きも元に戻った。

「何?!」
「ありがとうございます亜梨ちゃん♪」
「・・・それくらい自分で抜け出せ・・・」
「いいじゃない亜梨姉!厘ちゃん無事だったんだし!!」
「よくも変な結界に閉じ込めてくれたわね晴雷・・・」

三人が結界を破って飛び出してきた。

「なぜその結界を?!」
「・・・あれ?気づいてなかったんですか晴雷さん?
土属性の力で作ったあの結界は、他の金や木属性にはききますが、土属性の亜梨ちゃんにはきかなかったんですよ・・・」
「きくもなにも・・・ないも同然だろ・・・」
「な・・・バカな!お前は火属性のはずでは!!」
「・・・さあな・・・」
「だから、言ったじゃないですか・・・僕達は普通じゃないって・・・」
「普通じゃないのは亜梨姉と厘ちゃんだけでしょ!」
「私達まで一緒にしないでよ!ねぇ梅流ちゃん?」

杏と梅流は各々に武器を構えながらそう言った。

「さぁ・・・これからがショータイムの本番だよ!」

梅流の言葉を合図にそれぞれが戦闘体制に入った。


書きこみ日・・・2001/03/13

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