Metropolis
ぐるりと辺りを見渡し、亜梨馬は短銃を構え直した。
「亜梨姉、どうするの・・・?」
梅流が亜梨馬の服の裾を、くいっと引っ張った。
不安一杯の目で見つめながら。
そんな梅流の頭を優しく撫で、軽く亜梨馬は微笑んだ。
「どうするも、まずは晴雷のところに辿り着かなきゃ意味がねぇな。きっと杏もそこにいるだろうし」
「でも、どうやって行くんですか?杏ちゃんも突然消えたし、今まで散々探し回りましたけど、
入り口なんてどこにも見当たらないんですよ?それとも、何か秘策でもあるんですか?」
「いや・・ないことはない。だが・・・」
亜梨馬は梅流の方を見て、言葉を濁した。
「こうなったら、どんな手段でも、実行してみるしかないと思います」
戒厘の言葉に決意を決めたように、戒厘を見つめて亜梨馬は言った。
「お前が囮になるんだよ・・・。水属性のお前が1人になれば、それをチャンス思ってやつらは襲ってくる。
杏を先に引き離したのは、たぶんお前を1人にするためだろう。なら、その挑発に乗ってやっても悪くはないだろ?」
「そんなのダメだよ!?」
梅流が戒厘の前に立ちはだかる。
そんな梅流の肩に手を置き、にっこりと戒厘は微笑む。
制した梅流の横に立ち、亜梨馬を見る。
「わかりました。亜梨ちゃん、後はまかせましたよ。
梅流ちゃん、僕は大丈夫ですから、あまり心配しないでください」
戒厘はそう言って、1人先へと歩き出した。
慌てて追いかけようとする梅流の腕を、亜梨馬は掴んだ。
きっと睨み付けた梅流は、亜梨馬の手を振りほどこうとするが、どうあがいても振り払えない。
戒厘の姿が木の陰に隠れたとき、やっと亜梨馬は手を解いた。
涙を浮かべた梅流が、亜梨馬に掴みかかる。
「厘ちゃんに何かあったら、亜梨姉のせいだからね!??」
怒りを称えた瞳から、一滴の涙が零れ落ちた。
掴みかかった梅流の手をそっとはらい、戒厘の進んだ道を歩きだした。
梅流も慌てて後に続く。
いつになく真剣な亜梨馬の目に、梅流はぞくりと肌がくりだった。
「・・・あ・・・亜梨・・姉・・・・?」
声をかけるのも躊躇うほど、亜梨馬を取り巻く気は集中している。
静まり返った森が、亜梨馬の気の力で微かに揺れていた。
と、亜梨馬が口を開いた。
「梅流、梅流は戒厘を信頼してるんだろ?」
突然の問いに驚いたが、頷き答えた。
「当然でしょ」
ちらりと梅流の顔をうかがい、肩を軽く抱きしめるようにして歩く。
徐々に近づく戒厘の気に、2人はさらに緊張を高めた。
そして、ついに晴雷の住処への道へ、辿り着いた。
書きこみ日・・・2002/03/11
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