Metropolis
空の周りを、ぐるりと囲むように神獣たちが取り巻いている。
亜梨馬は早々に麗蘭の世話を放棄したからだ。
空の背中に、戒厘が気孔で物質化した小さな籠を背負わせ、その中に麗蘭を入れている。
禅と廉がそれを敵から守るように飛ぶ。
その後ろを、黙って歩く4人の姿があった。
だいぶ奥まで来ただろうか、途中何匹もの妖獣が亜梨馬たちを襲ってきたが、みな見るも無残な姿になっていた。
「梅流、15匹倒したよ!杏は?」
梅流がにこやかな杏に話しかける。
杏はにっこり笑って梅流に答えた。
「私は25匹は倒したけど?」
梅流はぷくっと頬を膨らませ、これからだもん!とそっぽを向いた。
今度は戒厘の方を見て、厘ちゃんは?と聞く。
「僕は…さぁ…?数えてませんでした」
それを聞き、小声で亜梨馬が呟く。
「嘘をつけ。全員分覚えているくせに」
それを耳ざとく戒厘は聞き逃さなかった。
「何かいいました?亜梨ちゃん」
ふぅっとため息を付き、亜梨馬は梅流の方を見て言う。
「戒厘とオレは30だ」
1番少ないと少ししょげている梅流をなだめ、亜梨馬は杏に横目で合図をした。
とっさに、杏は結界を張る。
「杏と戒厘はここで待ってろ。ここから先はこいつを連れていけないからな」
ふわふわとした麗蘭の髪を撫で、梅流の方を見つめた。
「行くぞ、梅流」
「うんっ!」
「戒厘、この結界を壊せるか?」
亜梨馬は森の右の林の中に、目を向ける。
「ええ、大丈夫ですよ」
戒厘は亜梨馬の目を向けた方向に、気孔波を打つ。
また、さっきのようなガラスの割れるような音がした。
パリンッと森の中を、木霊の様に後から鳴り響いている。
「ここも安全じゃない。禅たちはこいつらの援護をしろ。いいな?」
心配そうに禅が顔を擦りつけてきた。
他の神獣たちも、亜梨馬のそばによってきては、身体に擦り寄っている。
「戒厘、杏のことは頼む」
「わかってますよ。亜梨ちゃんも気をつけて」
「ああ…」
亜梨馬と梅流が結界のあった部分を越えたとき、ピキっと、また音がした。
「予想道理だな」
後ろを振り返ると、すぐ後ろにいるはずの杏や戒厘たちの姿が見えない。
ぽんっと梅流の肩に手を置き、状況を把握できないでいる梅流に説明する。
梅流の顔色が見る見る変わっていった。
書きこみ日・・・2002/01/20
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