Metropolis
亜梨馬と梅流は洞窟の中をひたすら歩く。
どれくらい歩いただろう、9回目の分かれ道で亜梨馬は足を止めた。
急に止まったので、後ろにぴったりくっつくように歩いていた梅流が、亜梨馬の背中のぶつかった。
地面には、ついさっき印として落とした花びらが1枚落ちている。
険しい目付きでそれを見、舌打ちすると、亜梨馬は吐き捨てるように呟いた。
「どこまでセコイ手を使うんだかな」
梅流に下がっているよう目配せすると、壁をとんとんと叩き始めた。
不思議そうに見つめている梅流を気にせず、ひたすら壁をコツコツコと叩きつづける。
ちょうど分かれ道の境目の壁を叩いたとき、コトッと小さな音を立てて石が動いた。
その場所にガウンと銃弾を打ち付けると、ガラガラと壁は崩れ落ち、そこには道が現れた。
「これがほんとの道?」
亜梨馬の後ろから、梅流がひょいっと顔を出した。
「たぶんな。5番目の道両方に結界が張ってあったんだよ。それがここだ。
確か5回目に右、8回目に左を行ったはず。後はどこかに結界を解くものか、別の道があると思ったんだよ」
現れた道の奥をじっと見つめ、亜梨馬はまた呟いた。
「まぁ、相手もこの程度ならたやすくクリアすると思ってるだろうしね」
その道を奥まで進むと、広く開けた森の中に出た。正面側から、2人の耳に聞き覚えのある声が聞こえてくる。杏と戒厘の声だ。
また結界のせいかと思ったが、どうやらその気配はない。
「梅流、オレはここで待つから、やつらを連れて来い」
「なんで杏と厘ちゃんがいるんだろ?」
「オレが知るか。とにかく連れて来い」
「うん、わかった!」
声のする方向に、梅流は走り出した。
亜梨馬は手短な木に寄りかかり、また煙草に火をつける。
立ち上る青白い煙をじっと見つめ、気を集中させた。
梅流が杏と戒厘を連れて来る足音が聞こえてきた。
ふっとその気を静め、その方向を横目で見る。
だが、そこには麗蘭と四神の姿がない。
亜梨馬は四神の気を探るべく、再び気を集中させた。
書きこみ日・・・2002/02/05
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