Metropolis
微量ながら感じる四神の気配を近くに感じる。
だが、結界に阻まれているらしく、完全にはつかめない。
杏と戒厘は、ここまで来るまでに、梅流から事情を聞いてきたようで驚いた様子はなく、
亜梨馬のそばまで来ると、亜梨馬と梅流に自分たちのことを話し始めた。
「梅流ちゃんが来た時はびっくりしたけど、どうやら敵は僕たちを一まとめにしておきたいみたいですね。
禅を空中に避難させた瞬間、結界が僕たちと禅を間に出現したんですよ」
「それで、麗蘭と禅たちは大丈夫なのか?」
「ええ、麗蘭には四神たちが付いてますから。彼らは人化の術を心得ていますし、心配はないと思います。
それより、敵の目的は、もしかしたら、彼らと僕たちを引き離すことだったのかもしれないですね」
今来た道を振り返り、四神たちがいるであろう方を戒厘は見た。
「…なるほどな。四神の力がなければ、俺たちに勝てるとでも思っているのだろうが……」
「そうは問屋が卸しませんよね。僕たち、実はこっちの方が馴れてたりするんですよね」
この上なく不適な笑みを浮かべた戒厘を見て、亜梨馬は言った。
「自分の方から墓穴を掘ってくれたんだ。感謝しなきゃな」
カチャリと銃を構えると、目の前に現れた妖獣の眉間を打ち向いた。
4人を取り巻くように、無数の妖獣たちが地面から突然現れたのだ。
「こいつらは土属性だな。杏、任せた」
そのまま木に寄りかかったまま、亜梨馬は銃をしまう。
我関せずという風に、たまタバコに火を付けた。
「もう亜梨ちゃんてば…。面倒くさいとすぐこれなんだから」
下を向きため息を1つ吐き顔を上げると、杏の目付きが変わった。
「天の御霊に命ずる。我汝に仕えし者、この身体に宿りてその力を示したまえ。風雷覇!」
杏が空高く手を上げると、空が曇り、雷が鳴り響いた。風が急に強くなり、森の木々を激しく揺らす。
風と雷が、まるで刃のように妖獣たちを包みこみ切り刻んでいる。
その中をかいくぐり、さらに杏の錫仗がうなりをあげて飛び交う。
ほんの一瞬の隙に妖獣たちの四肢は切断され、地面に転がり落ちた。
残骸だけが後には残り、カシャンと錫仗の先端を戻るのと同時に、杏は亜梨馬の方を見た。
「一丁あがり!」
おおーっと、梅流と戒厘から歓喜の声と拍手があがる。
書きこみ日・・・2002/02/13
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