Metropolis
風が木々を揺らす音が、やけに大きく聞こえてくる。
森のざわめきしか聞こえない空間に、微妙な気の流れを感じた。
それは一瞬のことだった。
ふと梅流が気をそらした時、4人が見ていた別の方角から、弓矢が飛んできた。
「梅流っ!!」
とっさに亜梨馬が梅流をかばったが、勢いあまって覆い被さるように2人は地面に倒れる。
「亜梨姉っ!大丈夫!??」
「オレの心配より、今は自分の心配をしろっ!」
すばやく体制を立て直すと、弓矢が飛んできた方に銃を連射した。
聞き苦しい絶叫と共に、木の陰で誰かが倒れた。戒厘がそれを確認しに行く。
「・・・・この額の模様、催牙(さいが)の手の者ですね・・・・」
倒れた男の額を指差す。
ふぅとため息をつくと、さっきまで見ていた方向を亜梨馬は見つめた。
「こいつはザコだな。この程度のやつに、俺たちを惑わす程の結界はつくれない・・・。
となると、あの方向のボスがいるってことだな」
そう呟くと亜梨馬はだまって奥へと歩きだした。
「亜梨ちゃん、もしかして・・・もしかしなくても行く気?」
杏が問いかけると足を止め、前を向いてまま言った。
「どうせ、そいつを倒さなきゃここから出られないだろ?
だったら仕方ないから行くかないだろ?ここでのたれ死んでもいいってのなら、ここに敵が現れるまでいればいいさ」
脅しともとれるいいかである。それに、いち早く反応したのは梅流だった。
「どうせ死ぬなら、亜梨姉と一緒に行く!」
亜梨馬の隣に駆け寄った梅流に、亜梨馬は囁いた。
「俺は死ぬ気はないがな・・・」
「私たちが行くにはいいけど、天たちはどうするの?」
杏がまた亜梨馬に問いかけた。馬が通るには、さすがに厳しい森である。
「神獣の姿なら、サイズなんてどうにでもなる」
目で禅に合図すると禅は馬から鳳凰に姿を変え、鳥くらいの大きさに変化し、亜梨馬の肩に止まった。
「さっさとこんなとこを出るぞ」
亜梨馬はそう言い残すと、誰の返事を聞かずに、1人先に森の奥へと入って行った。
書きこみ日・・・2001/11/22
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