Metropolis
 

心配そうに梅流が見ていた。その視線に、大丈夫だと軽く目配せする。

「わざわざ急所を外したんだ。起きてるのはわかってんだよ!」

倒れている男の横腹を、思いっきり蹴り飛ばす。

「ぐはぁっ・・つ・・・、き・・貴様何故・・・・」

蹴られた部分を抑え、うめき声をあげている男の胸ぐらを亜梨馬は掴み、引き寄せた。

「あんなに殺気を出していたら、気付かない方がおかしいと思うが?
まぁ、気付いてないやつらも、いたことは確かだけどな・・・」

思わず目を梅流と杏に向けた。

「催牙の手先か?」
「それならどうしたというんだ?ここには、お前たちを殺そうと何人もの妖獣たちがうろついているんだ、
生きて出られるかな・・。ひひひっ・・・。晴雷様も、お前たちのお前たちの血肉を食らおうと、どこかでお待ちだ」
「そうか・・。貴様のボス晴雷か・・・」
「なっ何っ!!」

掴んでいた手を放すと、逆の手に持っていた銃を打つ。
そのまま放置し、梅流たちの下に亜梨馬は戻った。

「亜梨ちゃん、収穫は?」

杏が聞く。
亜梨馬は横倒しになっている気に座り、めったに吸わない煙草に火をつけた。

「亜梨ちゃんそうとうイラついてるみたいですね・・・・・」

戒厘の一言に、2人も顔を見合わせて頷く。

「ここには俺たちを狙って、無数の妖獣どもがうろついているそうだ。
もっとも、ここから奥はの話だろうが・・・。それにどうやら、晴雷が直々に指揮を取っているらしい。
なら、必然的にターゲットは決まったようなものだ。頭を叩けば、この程度の妖獣どもは、どうすることもできなくなるだろうしな」

一息つき、亜梨馬は言った。

「じゃぁ、もっと奥へ行くの?」

不安いっぱいの目で、梅流は亜梨馬を見つめた。

「当然だろ?大丈夫だ、俺がいるから」

ここまでで、見せたことのない笑顔を梅流に見せる。

「うん!」

杏と戒厘に目を向け、今度は真剣な顔で言う。

「ここからは、絶対に離れないようにしよう。どこから攻めてこられても、対処できるようにな」

杏と戒厘は頷く。

「天、ここからはみんなのサポートよろしくお願いしますね」

戒厘は、腕からすっと天を下ろす。
こっちだというように、天はとことこと先を歩き出した。



書きこみ日・・・2001/11/30

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